日本人にとって、「コレラ」とは、あまりなじみのない病気ですが、なじみがない分、免疫もないので、海外に行った時などは、いろいろと注意が必要です。
今回は、「食中毒の症状」シリーズ第12弾として、コレラ菌についてまとめました。
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コレラ菌とは?
コレラ菌は、インドのガンジス川デルタ地帯にて風土病として存在していた細菌です。
発展途上国においてコレラ菌による食中毒は、いまだ日常的であり、1992年にはインドで新型コレラが発生し、日本に持ち込まれたという事例もあります。
コレラ菌は強い感染力があり、ペストにも匹敵する危険な感染症ともいわれており、日本の感染症法においては、発生状況の監視が必要されている3類感染症のひとつに指定されております。
コレラ菌は、多くは海外旅行に行った人が持ち帰ってくることが大部分を占めていますが、輸入食品を通して持ち込まれる場合もあるといわれております。
コレラ菌による食中毒の原因は?
コレラ菌に感染した人の糞便や嘔吐物などによって汚染された水、または、加熱処理が十分でない魚介類などを飲食することによって、感染します。
コレラ菌は、口に入っても多くは胃の中の胃酸によって死滅しますが、死滅せず小腸まで達した場合、爆発的に増殖し、コレラ毒素を発生させます。その作用で、感染性の胃腸炎をおこします。
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コレラ菌による食中毒をおこした時の症状
潜伏期間
2時間~5日
症状
- 下痢(白い米のとぎ汁のような)1日20回~30回
- 嘔吐
- 体温低下(34°台まで下がる場合もある)
- 血行障害
- 眼球が没落
- 筋肉のけいれん
- 声がかすれる
- 意識障害
腹痛や発熱はないものの、脱水症状が進み、重症化すると死亡する場合もあります。
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治療法
コレラ菌に感染すると、激しい下痢症状によって、体内の水分と電解質を大量に失い、脱水症状をひきおこします。
そのため、点滴(生理食塩水などの輸液)によって、速やかに水分と電解質の補給と、抗菌剤(抗生物質)の投与による治療がおこなわれます。
- 点滴(生理食塩水などの輸液)
- 抗菌剤(抗生物質)の投与
脱水症状があらわれて、輸液などの治療が適切におこなわれなかった場合の致死率は約6割ともいわれており、適切な治療をおこなえば致死率は約1割まで下がり、現在の進んだ輸液治療を適切におこなえば、死亡する例はほとんどないそうです。
コレラ菌による食中毒の予防法
現在では、コレラ菌は、衛生状態の良くない東南アジアなどに、海外旅行をした人がかかってくることが大部分をしめていますが、まれに、輸入食品によってコレラ菌による食中毒の発生事例もみられます。
予防法としては、
- 海外旅行(コレラ流行地域)の際の、トイレ使用後は手洗いをしっかりおこなう
- 海外旅行(コレラ流行地域)の際には、生水や氷は食べない
- 海外旅行(コレラ流行地域)では、生もの(サラダ、果物、加熱不十分な魚介類など)は食べない
- 海外旅行(コレラ流行地域)の際は、体調維持にも気をつかう
- 海外旅行(コレラ流行地域)に行く前に、ワクチンを接種する
ワクチンについてですが、コレラ菌のワクチンは日本では製造の認可がされていないため、輸入ワクチンを取り扱っている一部の医療機関でのみ接種できるという状況です。厚生労働省の承認もないので、コレラ菌の予防接種を受けて、副作用などがおきた場合にも、国の「医薬品副作用被害救済制度」を受けられない可能性もあります。予防接種を受ける医療機関にて、副作用についての確認をしっかりおこなう必要があります。
これらのことをふまえて、事前にコレラ菌のワクチン接種を、おこなっているかどうかを問い合わせてみるとよいでしょう。
*コレラ菌のワクチン接種によって重大な副作用がおきたという報告は過去にはないようです。
海外旅行(コレラ流行地域)では、できるだけ、加熱処理した食品を飲食するよう心がけましょう。
*コレラ流行地域とは:東南アジア、アフリカ、北米などです。また、戦争や暴動が起きている地域や、難民キャンプなども、衛生状態がよくないため流行しやすいとされています。
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