「赤痢菌」というと、「戦後の不衛生な環境からくるもの」という、学校での社会の勉強を思い出すのは私だけでしょうか?
現代にはないでしょ!と思っていたのですが、現代でも少なからず発生するようです。
免疫力の弱い子どもや高齢者の方は気をつけたいところです。
今回は、「食中毒の症状」シリーズ第11弾として、赤痢菌についてまとめました。
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赤痢菌とは?
赤痢菌は、かつては日本でも大流行している感染症のひとつでしたが、上下水道が整備され、衛生環境が整った現在での、日本国内での発生は少なくなりました。
しかし、衛生環境が整っていない発展途上国(アフリカやアジアなど)では、現在も赤痢菌は蔓延しており、これらの地域に渡航した人が、保菌した状態で帰国することで、国内にもちこまれ感染が広がるという現状だそうです。
赤痢菌によって、細菌性赤痢とアメーバ赤痢という感染症をひきおこします。
細菌性赤痢とアメーバ赤痢は、感染者や保菌者(病原体を体内に保有しているが症状が出ていない人)の糞便中にも病原菌が含まれているといわれ、それに汚染された食品、水などを飲食することによっての経口感染で広まるとされています。
赤痢菌による食中毒の原因は?
赤痢菌は、生水や、不衛生な水、また赤痢菌のついたイエバエが食べ物にとまりそれを食べた、などによって経口感染します。
赤痢菌は加熱処理(75度以上で1分間以上加熱)で対処できるのですが、保菌者が手をきちんと洗わず食品に触れて、その食品を加熱しなかった場合なども感染源となりえます。
また、汚染された食品を室温に放置したままにしておくと菌が増殖します。
例)
- サラダ
- ポテトサラダ
- 牛乳
- 乳製品
- 生水
- 不衛生な水
- 牛乳
- 乳製品
- 鶏肉
など。
直接手指が触れる食品(にぎり寿司など)から感染する可能性も高いともいわれております。
気温が高くなる夏場に発生するリスクが高いとされています。
感染力が非常に強いため、保育園、学校、老人施設、宿泊施設などの、人と人との接触が多い
場所で集団発生する場合もあるようです。
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赤痢菌による食中毒をおこした時の症状
潜伏期間
1~7日(多くは4日以内)
症状
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛(しぶり腹)
- 血性下痢(粘液と血液の混じったイチゴゼリー状の粘血便)
海外旅行から帰国してから、体調を崩し病院に行った際には、「海外旅行に行った」ことを医師に伝えましょう。
治療法
・抗菌薬を5日間内服
・整腸薬(強力な下痢止めは使用しない )
・補液(点滴、経口輸液)
・入院(場合によっては)
外来治療も可能ですが、状態によって、または蔓延防止のために必要だと医師が判断した場合は入院になることもあります。
・再検査
治療後に2回、糞便の培養検査をおこない、陰性であれば治療が完了します。
また、細菌性赤痢は3類感染症であるため、診断した医師は、最寄りの保健所に届け出る義務があります。
赤痢菌による食中毒の予防法
赤痢菌の予防の第一は、感染経路を遮断することだといわれております。
社会全体で取り組むべき衛生環境整備(上下水道の整備など)と、個人の予防との両側面からの対策が必要となってきます。
日本国内における赤痢菌感染者は、海外渡航者の帰国によって、もちこまれたものが多くを占めているといわれているため、衛生環境の整っていないと考えられる国での「生もの」「生水」「生水でできた氷」などは飲食しないということが重要です。
個人でできる予防法
1.手洗い
- 食事前
- トイレの後
- 動物をさわった後
- 土などをさわった後
など。
2.うがい
3.海外旅行での食事に気をつける
- 生水
- 生水でつくられた氷
- 生もの
などは避けるようにしましょう。
4.食品は十分加熱する
赤痢菌は加熱処理(75度以上で1分間以上加熱)で殺菌できるので、食品は十分加熱しましょう。
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