TVのCMで、「高齢者の方は肺炎球菌のワクチンを接種しましょう」と呼びかけるものがありますね。
私などは、小さな子供もいるため、「肺炎球菌ワクチン」といえば、子供が受ける予防接種というイメージがありましたが、現在(2016年)では、日本人の死因の第3位が「肺炎」といわれるほど、大変な病気だということがわかりました。
今回は、大人の肺炎球菌性肺炎についてまとめました。
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肺炎球菌とは?
肺炎球菌は常在菌としてふだんから体にすみついているのですが、免疫力が弱った時に暴れだし、菌を増殖させ肺炎球菌に感染させるというわけです。
肺炎球菌に感染することによっておこる肺炎を「肺炎球菌性肺炎」といいます。
2016年現在、日本人の死因の順位は、
1位:がん
2位:心疾患(心筋梗塞など)
3位:肺炎
と、肺炎が実に3位ということです。
肺炎によって亡くなる方は年間で約12万人にのぼり、そのうちの約9割が65歳以上ともいわれております。
肺炎球菌による感染症にかかりやすいといわれている人は、
- 糖尿病の人
- 呼吸器疾患がある人
- 病気で免疫力が低下している人
- 脾臓を摘出されている人
- 何らかの持病がある人
- たばこを吸っている人
などがあげられます。
また、インフルエンザウイルスにかかった時も、肺炎球菌性肺炎を発症することがあります。これは、インフルエンザウィルスによって、気道や肺にある細胞が破壊されることによって、肺炎球菌が肺に侵入してしまったことによるものです。
ですので、予防接種などで、インフルエンザの予防につとめることも大切です。
かかいりやすい年齢は?
・2~3歳の乳幼児(抗体をもっていないため)
そのため生後2か月から「小児用肺炎球菌ワクチン」という定期接種を受けることができます。
*「小児用肺炎球菌ワクチン」は、「Hib(ヒブ)ワクチン」と同時に接種することができます。
・65歳以上(免疫力が低下しているため)
各自治体ごとに実施している定期接種を受けることができます。
肺炎球菌性肺炎の症状
- 発熱(38℃以上の熱が4日以上)
- 悪寒
- 全身のだるさ(けん怠感)
- 息切れ
- せき(痰がからんだ深い咳)
など
風邪と肺炎球菌性肺炎との違いと見極め方
風邪(ウィルスによるもの)
発熱、悪寒、せき、痰、くしゃみ、頭痛、食欲不振、倦怠感などで肺炎の症状とも似ているのですが、かぜとは上気道の炎症であるため主に「のどが痛い」という特徴があります。
また、痰の色は、白や、薄い黄色などで、発熱は1~2日間くらい(長くても3日間以内)におさまるのが普通の風邪です。
くわしくは「風邪にもいろいろな種類がある?自宅でできる風邪の対処法」をごらんください
肺炎球菌性肺炎(肺炎球菌)
- 発熱(38℃以上の高熱が4日以上)
- 悪寒
- せき
- 痰
- くしゃみ
- 頭痛
- 食欲不振
- 倦怠感
などがあげられ、一見、風邪とも似ていますが、
「刺すような胸の痛み」「咳をするたび胸が痛い」などの症状が左右どちらかの胸にあらわれます。この痛みは胸膜炎をおこしている症状です。
また、緑色や、黄色、赤茶褐色のような痰がでます。
熱が4日以上続きます。
治るまでに4日~1週間ほどかかります。高齢者や、体力が落ち抵抗力が弱っている人は重症化することもあり、2週間ほど入院することもあるようです。
*ちなみに、風邪や肺炎とよく似たもののひとつである「インフルエンザ」だと1日~3日間で熱はおさまってきます。
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人にうつる肺炎とうつらない肺炎がある?
咳やつばによって飛沫感染する肺炎もあるので要注意です。肺炎が治るまでは必ずマスクをつけましょう。
人にうつる肺炎
- 肺炎球菌性肺炎
- Hib(インフルエンザ菌)
- マイコプラズマ肺炎
- SARS(サーズ)
人にうつらない肺炎
- 薬による肺炎(薬剤性肺炎)
- アレルギーによる肺炎
- 真菌(カビ)による肺炎
- 風邪をこじらせたことによる肺炎
- 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
その他肺炎球菌感染することによっておこる病気
・髄膜炎
髄膜炎については「インフルエンザ後におこる頭痛は髄膜炎?症状や予防接種は?」をごらんください。
・中耳炎
中耳炎については「大人の中耳炎の症状は耳の激痛が特徴」をごらんください。
・副鼻腔炎
・気管支炎
・敗血症
などがあります。
肺炎球菌性肺炎の治療法
- 抗菌薬の内服
- 水分補給
- 暖かくして安静にする
自己判断で薬を中断すると、症状がぶり返したり、菌に耐性がついてしまい、今後同じ抗菌薬が効かなくなる原因にもなってしまいますので、抗菌薬は医師の指示に従い、最後まで飲みきりましょう。
発熱による脱水症状を防ぐため、水分補給はこまめにおこないましょう。経口補水液(OS-1)による水分補給ができれば理想的です。
暖かくして安静にすることにつとめましょう。
肺炎球菌性肺炎の予防法
成人用肺炎球菌のワクチンを接種する
65歳以上の方は成人用肺炎球菌の定期接種を受けることができます。
接種してから免疫(抗体)ができるまで、約3週間ほどかかるといわれております。
また、個人差はありますが、肺炎球菌ワクチンの免疫(抗体)は、5年以上持続するとされています。
~定期接種の対象者は?~
★平成26年からはじまったこの「成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種」は、平成31年3月31日までの間は、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の誕生日を迎える方が対象となります。
★定期接種の対象でない方の予防接種は、任意接種となり、健康保険の対象外となります。くわしくは、最寄りの医療機関にて確認してみましょう。
定められた期間内(平成31年3月31日まで)に、未接種者に限り「ひとり1回」という決まりがあります。
*注意*
今年度、65歳の方が70歳になった時や、70歳の方が75歳になった時などは、定期接種の対象にはなりませんので注意しましょう。(平成31年3月31日を超えてしまうから)
★平成31年4月1日からは、65歳(接種日当日に)である方が対象となります。
★インフルエンザと同時接種をすることもありますが、体の状態をみて医師が判断します。
★脾臓を摘出されている方は、健康保険が適用されます。
日頃からできる肺炎予防対策
肺炎になってから治療するよりも、そもそも肺炎にかからないようにするほうが賢明です。
そのためにも、日頃から肺炎の予防を心がけていくことが大切になってきます。
- うがい
- 手洗い
- マスク
で予防し、
- 十分な睡眠
- 規則正しい生活
- 栄養バランスのよい食事
- 軽い運動
- 持病の治療
- 禁煙
- 太陽の光をあびる
などによって、日頃から、からだの抵抗力(免疫力)をアップさせる意識をもつとよいでしょう。
関連記事もあわせてごらんください
「マイコプラズマ肺炎は潜伏期間中でも人に感染する?期間は?」
「インフルエンザ後におこる頭痛は髄膜炎?症状や予防接種は?」
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