髄膜炎(ずいまくえん)って知ってますか?
インフルエンザの後などに割れるような頭痛がおきることがあります。
聞いただけでおそろしい感じがしますが、予防する方法はあるのでしょうか?
今回は、髄膜炎の原因や症状、また予防接種についてまとめました。
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髄膜炎とは?
髄膜炎とは脳を包んでいる膜(髄膜)にウイルス、細菌、真菌などが感染してしまい、急性の炎症が起こる脳の病気です。脳膜炎、脳脊髄膜炎ともいいます。
*髄膜とは、脳や脊髄を覆う保護膜のことをいいます。
薬品が原因で髄膜炎になる場合もあります。
細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎の2つに分けられます。
細菌性髄膜炎
細菌感染による髄膜炎です。Hib(ヒブ)が約60%と肺炎球菌が約30%だといわれております。
どちらも普段から鼻や喉の奥にいる菌(常在菌)なのですが、風邪をひいたり、体力や免疫力が低下している時や、インフルエンザに感染した後、その延長で細菌に感染することによって髄膜炎を発症することがあります。
無菌性髄膜炎(ウィルス性)
細菌ではなく、細菌よりも小さいウィルスに感染することによる髄膜炎です。
無菌性の髄膜炎の場合は後遺症もなく完治するといわれております。
インフルエンザ菌とインフルエンザウイルスの違い
インフルエンザ菌とは?
肺炎、気管支炎などの呼吸器や、中耳炎などをひきおこす細菌です。
その「インフルエンザ菌の中のb型」がHib(ヒブ)と呼ばれているものです。
このHib(ヒブ)は常在菌といって、普段から人間の鼻や喉の奥に存在している菌です。
インフルエンザという名称ではありますが、冬に流行するあのインフルエンザとは全く違うものです。
ふだんは悪さをしない常在菌も、体力、免疫力が低下した時に暴れだすという習性があります。
髄膜炎の原因菌のひとつである「肺炎球菌」もHibと同様、常在菌として、鼻や喉の奥に存在しています。
インフルエンザウィルスとは?
「インフルエンザウィルス」は、冬に流行するインフルエンザの感染源であるウィルスです。
インフルエンザを発症したのち、なかなか熱(高熱)がさがらない、または頭痛、嘔吐などの症状がみられた場合は、髄膜炎である可能性があります。この場合、後遺症が残る可能性は低いといわれております。
しかし、インフルエンザは脳症の合併症をひきおこす場合があり、そのうち死亡する確率は約30%、後遺症が残ってしまう確率は約25%と非常に高くなっておりますので、インフルエンザの合併症には注意が必要です。
髄膜炎の原因(年齢別)
新生児~生後3カ月(乳児)
B群レンサ球菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌
などによるもの。
細菌性髄膜炎をおこすと、新生児の死亡率はじつに約30%といわれております。
生後3カ月(乳児)~5歳(幼児・年中)
インフルエンザ菌(Hib・ヒブ)、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌
などによるもの。
6歳(幼児・年長)~青年期
肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌
などによるもの。
成人
肺炎球菌、髄膜炎菌
などによるもの。
50 歳以上(高齢者)
肺炎球菌、グラム陰性桿菌、リステリア菌
などによるもの。
特に肺炎をひきおこす原因菌である肺炎球菌は、65歳以上になると免疫機能が低下してくるため、重症化しやすくなるといわれ、年齢が上がるほど致死率も上がるとされています。
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症状
「発熱」
「頭痛」
「嘔吐」
があり、
「髄膜炎の3大症状」ともいわれております。
- 高熱が5日以上続く
- 頭が割れるほどの激しい頭痛
- 嘔吐
この他にも、
・項部硬直(こうぶこうちょく)といわれる、首筋が固まったかのようになり、痛みもともない、前に曲がらなくなってしまう状態になることがあります。
どれも風邪の時にもあらわれる症状ですが、
髄膜炎は、
★頭が割れるくらい激しく痛む
★首が痛くて前に曲がらなくなる
という症状がともなう特徴があります。
乳児の場合
乳児は自分で症状を訴えることができないため、風邪の症状と見分けがつきにくいこともあります。
- 発熱
- 機嫌が悪い
- 哺乳量が減った
- 大泉門(頭のペコペコした部分)が膨らんできた
細菌性の髄膜炎だった場合、20〜30%の致死率といわれ、後遺症が残る可能性もあるといわれておりますので、いつもと様子が違う場合は、早急に病院に行き治療を受けましょう。
検査方法
腰に局所麻酔を打ち、注射によって髄液を採取して検査します。
そして、「髄膜炎か?」「細菌性髄膜炎か?」「無菌性髄膜炎か?」などを調べることになります。
この検査は時間にして1時間弱でおわるのですが、多少の痛みをともないます。
麻酔が痛いと感じる人もいれば、検査そのものが痛いと感じる人も、どちらもいるようです。
検査の直後からは起き上がるのもつらいと感じるくらいの痛みがともなう場合もあるようです。
そののち2~3日後くらいから、痛みはゆっくり回復していくようです。
治療法
髄膜炎になった場合、入院によって治療(対症療法)をおこないます。
細菌性髄膜炎の場合は、抗生剤などを使用したり、脱水の予防、治療のための点滴、発熱、頭痛、嘔吐などの症状をやわらげるための治療をしていきます。
細菌性髄膜炎の場合は、治療の経過にもよりますが、2~3週間ほど。
無菌性髄膜炎の場合の入院日数は、人によっても違いますが、10日~14日間ほどといわれております。
髄膜炎を予防するには?
★髄膜炎の発症原因の80%以上がインフルエンザウイルスの一種であるHib(ヒブ菌)と肺炎球菌となっております。 なので、「ヒブワクチン」と「肺炎球菌ワクチン」を接種する事が大切です。
(乳幼児の接種時期)
Hib(ヒブ)ワクチン、肺炎球菌ワクチンのどちらも生後2カ月から接種できます。
生後2カ月から1回目をスタートし、27日以上の間隔をあけて3回接種します。
そして、3回目の接種後60日以上の間隔をあけて、1歳で追加接種(いずれも同時接種)を1回受けるというのが推奨されております。
生後7カ月以前に1回目の接種を受けておかないと、あとが詰まり、接種できる回数が減ってしまうことになりますので、小児科と相談し、余裕をもったスケジュールでワクチンを接種しましょう。
Hib(ヒブ)ワクチンは5歳未満まで、小児用肺炎球菌ワクチンは6歳未満まで接種することができます。
ただし、定期接種としての対象年齢はどちらも5歳未満です。
(高齢者の接種時期)
高齢者や免疫力の低下した人も肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されております。
今まで、肺炎球菌ワクチンを接種したことがない人が、一人につき一回、定期接種(公費助成)を受けることができます。助成などの内容については各自治体によって違いがありますので、お住まいの地域の保健センターなどにお問い合わせください。
平成30年までは、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳までの、5歳きざみで定期接種として受けられるようです。
★髄膜炎菌も髄膜炎の原因となりますが、ワクチンを接種をすることで予防できます。
2歳以上55歳以下であれば接種可能です。
妊婦が接種できるワクチンもあるので医師に相談してみましょう。しかし、抗体がつくのは接種後およそ2週間後となりますので、思い立ったら早めに接種しておくとよいでしょう。
★インフルエンザワクチンの接種も受けておきましょう。
インフルエンザにかからない、またはかかっても軽くすめば髄膜炎の発症も、肺炎の重症化もおさえる効果があるといわれております。
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