「ボトックス注射」・・・女性なら聞いたことがあるのではないでしょうか?シワ取りなどの美容整形で用いられる方法ですね。
この「ボトックス」とは「ボツリヌストキシン」といって、ボツリヌス菌という猛毒からできているのです。とはいっても、医療用のボトックスは「一旦、無毒化して、約10倍に希釈して加工」してあるので人体には無害です。
美容整形のみならず、「自分の意志とは関係なく」筋肉がけいれんをおこす「ジストニア」の症状をおさえる治療薬としても使われております。
話はそれてしまいましたが、今回は「食中毒の症状」シリーズ第9弾として、ボツリヌス菌についてまとめました。
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ボツリヌス菌とは?
ボツリヌス菌の正式名称は、クロストリジウム・ボツリナムといい、その芽胞は、土の中や海、湖、川の泥砂中など、広く存在しています。
ボツリヌス菌は、酸素を嫌ういわゆる「嫌気性細菌」なので、酸素が含まれない、びん詰、缶詰、真空包装食品などの食品中で芽胞が増殖をし、その芽胞が強い毒素をつくりだします。
熱に強く、自然界に存在する毒素では最大で、その毒の強さは、ふぐ毒の1,000倍以上であるともいわれております。
海外では「土の中にいる殺人鬼」とも呼ばれているそうです。
ボツリヌス食中毒
食品中でボツリヌス菌の芽胞が増え、その芽胞がボツリヌス毒素を産生します。そのボツリヌス毒素に汚染された食品を食べることにより発生する食中毒です。
乳児ボツリヌス症
生後1歳未満の乳児に発生する、ボツリヌス菌による食中毒です。
原因となる食べ物は?
・びん詰(特に自家製のもの)
・缶詰(特に自家製のもの)
・容器包装詰め食品
・保存食品
・容器包装詰め食品
*「レトルト」似ているが、ここでは「120℃4分の加熱処理」がなされていないものとする
・真空パック食品
・はちみつ
・飯寿司(とくに手作りのもの)
など。
酸素のない状態になっている食品が原因となりやすいです。
ボツリヌス菌が増殖した食品は、容器が膨張し、開封するとかなりの異臭がすることがあります。
「要冷蔵」「10度以下で保存してください」など記載してあるものは、保管方法をきちんと守り、少しでも不安に感じる場合は、もったいないと言わず処分しましょう。
ボツリヌス菌による食中毒をおこした時の症状
潜伏期間
毒素の摂取から約8~36時間で発症
*ボツリヌス菌そのもの(芽胞の状態)の潜伏期間は、4時間から8日間といわれております。ボツリヌス菌の食中毒は「ボツリヌス菌の芽胞が出す”毒素”」によっておこります。
症状
- 数日間の便秘
- 吐き気、おう吐
- 視力障害
- 言語障害
- えん下困難 (物を飲み込みづらくなる。)
- 筋力の低下による脱力症状
- 眼球運動の麻痺
など、神経症状が現れるのが特徴です。重症化した場合は呼吸麻痺により死亡するケースもありますので、このような症状があらわれた場合は早めに病院に行きましょう。
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ボツリヌス菌による食中毒の予防法
1.ボツリヌス菌の増殖を防止する
ボツリヌス菌はどこにでもいる菌であるため、食品への汚染防止は難しいといえますが、食品自体に付着している菌を洗い流すことで、食中毒になる可能性を減らすことはできるといわれております。
野菜や魚は調理前によく水洗いをしましょう。
2.ボツリヌス菌の芽胞が死滅する温度で加熱
120℃4分間(あるいは100℃6時間)以上の加熱をすれば菌は死滅するので、食べる直前に十分に加熱しましょう。
3.保存は、3℃未満で冷蔵又はマイナス18℃以下で冷凍
「要冷蔵」「10℃以下で保存してください」などと表示してあるものは冷蔵庫に入れ、期限にかかわらず早めに食べ切りましょう。
4.容器が膨張していたり異臭があるときは絶対に食べない
真空パックや缶詰が膨張していたり、食品に異臭があるときはもったいなからといって食べたりせずに処分しましょう。
1歳までははちみつを与えないで!
1歳未満の乳児に、はちみつを与えてはいけないという話を聞いたことはありませんか?
それは、乳児ボツリヌス症をひきおこす原因となるからです。
赤ちゃんの体内は未発達で、腸内環境も未熟な状態です。この腸内環境が整ってくるのは、だいたい1才を過ぎてからだといわれております。
(症状)
・数日間の便秘
・全身の筋力が低下する脱力状態
・ 哺乳力の低下
・泣き声が小さくなる
神経障害がおき、主に麻痺症状がおこることが特徴です。
病院にて迅速に手当てをすれば、後遺症もなく完治させることができます。
しかし、処置が遅れた場合の致死率は1~3%といわれております。
(病院での治療法)
- 便秘の治療
- 呼吸の改善
- 抗菌剤投薬
などです。
神経麻痺による呼吸不全をひきおこさないために、人工呼吸器などで呼吸管理が行われる場合もあります。
はちみつ以外にも、
・黒糖
・コーンシロップ
・非加熱の野菜ジュース
も危険性を指摘されることがあります。
なので、これらは1歳をすぎるまでは与えないほうが無難です。
神経質になり過ぎる必要はありませんが、原材料の記載をよく読まれるとよいですね。
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