先日、うちの子供の宿泊学習の保護者説明会が学校で行われました。山奥の宿泊施設に泊まるということもあって、マダニの説明も受けました。マダニには細心の注意をはらわねばならないこと、万が一マダニに刺されたら、養護教諭の判断にて、保護者がすぐに迎えに行くという決まりがあることなど、ただ単に「ダニとか虫は気持ち悪い」という話では済まないということがわかりました。
今回は、もしマダニについて、また刺された時の対処法をまとめました。
[ad#co-3]
マダニとは?
普通にカーペットやペットなどにいるといわれている、小さくて目に見えない「ノミ」とか「ダニ」とかとどう違うの?って思いますが、
ダニには大きく分けて2タイプいます
ダニ
家のカーペットなどに寄生してアレルギーの原因になっている、いわゆる家ダニ。主に屋内に生息しています。
体長はダニの種類によってもさまざまですが、平均0.3mm程度で、大きいものでも肉眼でやっと見えるか見えないかの大きさです。
マダニ
動物や人に寄生して血を吸う。主に屋外に生息しています。
体長は通常時で2mm~3mmで、吸血すると10mm(約1㎝!!)ほどに膨れ上がります。通常時でも肉眼で見える大きさですね。
マダニの習性
生息地:山林や草原
活動時期:春から秋くらい(4月~10月)まで
行動:人や動物の血を吸う
マダニによる感染症は?
全てのマダニがウィルスを保有しているわけではないのと、マダニによって保有しているウィルスが違います。どのような感染症を発症させるウィルスを保有しているのでしょうか?
マダニによる代表的な感染症を調べてみました。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
日本において、マダニに刺されて感染するウィルス感染症の中でも、重症化すると危険だといわれている、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)というものがあります。
潜伏期間:6日から2週間
症状:原因不明の発熱、消化器異常(吐き気、嘔吐、食欲低下、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、倦怠感、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)、神経障害(意識障害、痙攣、こん睡)など
重症化すると死に至ることもあります。
致死率は6%といわれております。(直近の中国の報告)
吸着されても「痛くもかゆくもない」ので、刺されている最中も気づかず、気づいたら刺されていた!という感じでとても危険です。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に対してのワクチンや特効薬などはありません。よって対症療法となります。
ボレリア感染症(ライム病・回帰熱)
ボレリア感染症とは、野ねずみや小鳥等が保菌し、野生のマダニによって媒介される感染症です。
ボレリア感染症には、ライム病と回帰熱があります。
ライム病は、主に欧米に多く、日本では感染者が少ないのですが、マダニに刺されて3週間以内に、刺された周辺に紅班が拡がります。
あのアヴリル・ラヴィーンもライム病で5カ月もの間寝たきり状態になり「死ぬかと思った」というほど苦しんだそうです。
回帰熱は、シラミとマダニに刺されることで感染します。熱があがる時期(発熱期)と熱が下がる時期(無熱期)を数回繰り返すのが特徴で、治療をしなかった場合の致死率は30%もの確率と非常に高いです。
ボレリア感染症は抗生物質による治療ができます。
日本紅斑熱
マダニに刺されて感染し、治療が遅れると重症化し死亡することもあります。
発熱、発疹、刺し口の3つが主な特徴となっております。
症状は、頭痛、発熱(高熱)倦怠感などがあります。
抗菌薬などを使い治療をします。
ダニ媒介性脳炎
「フラビウィルス」というウィルスを持ったマダニに刺されることによって感染します。中央ヨーロッパ型脳炎とロシア春夏脳炎とがあり、症状は、発熱、筋肉痛などインフルエンザのような症状がでたあと、髄膜脳炎に進展し、1%~20%の致死率といわれております。
2016年の7月には北海道の40代の男性がこのダニ媒介性脳炎によって死亡するという報道がありました。日本国内での感染者は2例目で(もう1例は、1993年に北海道にて)、死者が出たのは初めてのケースです。
キャサヌル森林病
リス、こうもり、猿、マダニなどが感染源で、マダニに刺されることによって感染します。
日本では2014年時点では感染報告はあがっていませんが、感染症法においては「四類感染症」と指定されています。
発熱、頭痛、筋肉痛、咳、脱水、消化器異常、腎不全などの症状があらわれます。
致死率は3%~5%といわれております。
日本では今のところ治療方法が確立されておらず、対症療法のみとなっております。
クリミア・コンゴ出血熱
日本での発生は報告されていませんが、アフリカ、東欧、ロシア、中東で流行している感染症です。マダニに刺されることでも感染しますが、感染者の血液や体液に触れることでも感染します。有効な治療法は確立されておらず、対症療法のみとなっております。
症状は、高熱、頭痛、筋肉痛のあと、全身の出血症状(鼻血、全身にあざ、吐血、血便)が出て、感染者の30%が死亡する大変危険な病気です。
日本では、エボラ出血熱・ペストなどと同様、1類感染症に指定されています。
海外旅行で気をつけたい感染症です。
マダニの画像
あまり見たくないかもしれませんが、どういう虫なのかを確認するために、下記にマダニの画像のリンクを貼っておきました。↓
[ad#co-3]
マダニに刺された時の対処法
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の場合、ワクチンや特効薬などはありません。
マダニに刺された時、チクッとした痛みがある場合もありますが、刺されても気がつかず1週間もの間吸血します。吸血していくにしたがってマダニの体長が大きくなり、はっきり見えるくらいになります。
24時間以内にマダニを皮膚からはがせば感染症になる確率は低いとのことです。なので早期発見が大事なんですね。
皮膚科を受診し、場合によっては切開してマダニを除去、皮膚の消毒などをする場合もあります。
マダニを自分ではがすことができても、必ず一度は皮膚科(皮膚科以外だと他の感染症と誤診された場合危険なので)を受診しましょう。
病院で抗生物質をもらうことがありますが、抗生物質は最後まで飲み切りましょう。
自分でとる方法
・ピンセットでマダニの口元をつかんで、慎重にはがす。この時無理やり引っ張ってはいけません。マダニの胴体だけがとれて、口先が皮膚に残ってしまいさらに気持ち悪いことになり、そのことによって感染症もおこしやすくなるそうです。
・ご家庭にワセリンがあればワセリンを塗ることによって、約30分ほどで、マダニを窒息させることができるそうです。それからピンセットで慎重にはがし消毒をします。
*殺虫剤は使用しないこと!皮膚に口を食いこませた状態で死滅し感染症のリスクが高まります。
マダニに刺されないための対策は?
・キャンプ、庭仕事など外で作業するときは長袖・長ズボンにして肌を露出しない。
・帽子、手袋を着用をする。
・山や草むらなど戸外で活動するときはタオルやネッカチーフなどを首に巻く
せっかく長袖、長ズボン、帽子、手袋を着用しても首がすきだらけではいけません。
・山や草むらなどに行くときは色の濃い(黒など)衣服を着用しない。
これはマダニだけではなく、すずめ蜂対策にもいえることです。
・シャツはズボンにインする(ズボンの中にシャツを入れる)
長靴をはいている場合は、ズボンを長靴にインする。
・自然の中で遊んできたら必ず衣服は全部洗濯する。
・帰宅したらマダニが付着していないか、全身チェックする。
・虫よけスプレーをかける。
関連記事もあわせてごらんください
「水いぼは大人もできる?人にうつる?仕事は行ってもいいの?」
[ad#co-3]